社長の仕事って

BOSSのつぶやき 2015年7月

~ 社長の仕事って ~

 会社には、社長が居る。社長が、会社の活動の全責任を負っている、ことになる。私は、通算でほぼ10年以上社長業に就いている。10年やっていれば、どんな仕事でも、一応、ベテランの域ではないかと思う。社長の仕事であるが、長い経験の中で一番多かったのは、説明すること、のような気がする。まあ、平社員から取締役までの仕事でも、誰かに何かを説明することはやっていたが、特に社長になってからは、何かにつけ、説明を求められることが多かったように思う。3月決算の会社であれば、カレンダーで年が明けたころから来年度の計画を作ることになる。まず、ここから、とりあえず、来年度はこうやろう、という考えを事務方に説明しないと、計画を作る仕事がはじめられない。とりあえず、今年度の延長を考えるあたりはたいした説明は要らないだろうが、仕事の中身を全く変えないとしても、事業の環境が全く同じという事は無いので、まずは環境についての自分の考え位は伝える必要がある。なので、いつも何かをするたびに説明するということを考えて動いてきたような気がする。Facebookで友達たちの昼ご飯を見ている時でも、シロクマのハロハロを食べている時でも、またPCの画面の前で眠っている時でも、そうした自分の活動の説明を何か考えているのだよ、私は。

 社長という職務は、会社の事業全般を統括し、会社の業務執行について、株主や債権者とかお客さま、従業員などと言った利害関係者さらには社会全般に対して責任を負っている。この責任は、英語で言えば「アカウンタビリティ」で「説明責任」と訳される。したがって、社長は会社の事業全般を説明できないといけないのだ。とにかく、社長は自分のしたこと、しようとしていることを説明する必要がある。この説明は、会社の仕事として何かを始める時やその仕事の結果について、自分が判断した理由などを「説いて」「明らかに」しなければいけない、ということで、これを、説明責任と言うのだ。なので、普通の説明とはちょっと違うと思ってよい。結構、この説明責任を果たすのは難しいのである。何しろ、説明責任は、結果の因果だけを解説するものではなく、計画から実施、その結果までの妥当性を説明できないといけないのである。言ってみれば、失敗した場合などは、「申し訳ございませんでした」とか「時、利あらず、で」という事ではなく、計画は妥当であったことと結果として計画通りに事が運ばなかった事実関係をきちんと説明出来ないのは、問題である。失敗しなくても、うまくいけば良いじゃん、と言う考えが通用しないのが「説明責任」だと思ってくださいな。だから社長は大変、と言いたいわけではないけど、難しいのである。集団的自衛権を行使できるようにする件とか、国立競技場の計画と建設費の件とか、ちっともうまく説明できてない感があるのは、きっと責任者が「説明責任」というものを理解してないからだと思うのである。

 この「説明責任」で結構重要なのは、計画を立案し実施するという判断の「目的」をどの程度正しくかつ明らかに伝えることができるかということである。顧客数を増やすため、固定費を削減するため、新規の事業を開発して少子高齢化への対策を支援するため、など目的が明確であれば、あとは、計画開始、実行の判断について、目的が達成できると考えた根拠を具体的な証拠で示せば良い。この時、一番重要なのは「隠し事をしない」「嘘をつかない」ということだと私は思っている。説明したくないことを隠すと、後々、隠し事があるために根拠が不明確になりがちである。嘘は、バレなくても、いずれ説明に矛盾が出る。これを矛盾なしで説明するには、全てを整合性のとれた創作物として作らなければならなくなる。なので、隠し事や嘘があると、説明が複雑になり、たとえ話でしか説明できない、というような状況になる。これは、私自身が10年超の社長経験から学んだことである。まあ、言ってみれば、お恥ずかしいことだが「隠し事」も「嘘(も方便だけど)」も心に持っていたことがあって、そういう時は、すご~く大変だし、辛かったという記憶もあるのだよ。

 とにかく、人の上に立つ人は、「隠し事」とか「嘘」があることは良くない。どうしても言えないことがある時は、せめて、「実は今は言えないことがある」という事くらいは開示した方が良いと思っている。これは、なかなか難しいことだが、所謂、「腹芸」とか「本音と建て前」だと言えよう。すべてを正直に話せれば良いのだが、そういうシチュエーションでもない場合、どのようにするのか、まあ、これは、大人でないと分からない、という感じである。社長は「大人」である必要があるけど、それだけでは、人はついて来ないな、とも思う。なかなか、難しい話である。

ということで、向暑の折から、お気をつけて、良い夏をお過ごしください

 


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