株式会社アイシーアイ

ダイナミック・プライシング

   セブンイレブンが消費期限の迫った品に対し、割安な価格(ポイントで還元)を設定することを始めた。かつては、値引きに全く応じなかったセブンイレブンだが、ついに店舗オーナーからの要望に応じた。食品ロスを減らすという経産省の指導もあったのだろうが。
   もう、30年も前の話だが、イギリスのロンドンで、電車の料金が朝夕の混雑時には高い料金を設定し、ラッシュアワーで無い時は安い運賃で乗車出来ると聞いて、びっくりしたことがある。
   航空券では、繁忙期とそれ以外の時期で運賃が変わるのは当たり前であったが、鉄道料金ではなかなか進んでいない。かろうじて、メトロの回数券で、10時~16時の時間帯の運賃を割り引く『時差回数券』があるが。
   また、ホテルの宿泊料金も、最低価格から2倍3倍に変動することも珍しくない。アパホテルでは、1日の時間帯で切羽詰まった客の申し込みがある夜間の遅い時間帯には価格を値上げしている。
   消費者にとっては、自分が予約した料金が妥当なのか不安である。米国では、これをAIでどのタイミングで予約すると最も安くなるかを予測するサービス「hopper」や、ホテルの宿泊料金が予約時よりも下がったら、自動で予約をし直してくれる「service.」などが出てきた。
   インターネットの通販では、アマゾンやヤフーが、1日に数回価格を変えることをやっている。
   米国のアマゾンでは、1日に250万回価格変更をしたという調査報告がある(日経ビジネス、2019年3月18日)という。
   AIなどITを駆使して、競合他社の価格に対応するなど、ダイナミックに価格を変動させる傾向はますます活発になって行くだろう。
   価格が変動する要素は、①需要(季節、曜日、天候、鮮度、人気など)、②在庫(在庫が少なくなれば、希少性が増す)、③商品入手までの時間(急いでほしい消費者には高く売る)、④購入者の属性(性別、年齢、居住地、年収、など。例、学割、映画のレディースデイ)、⑤購入者の買物履歴(いつも買う逃げない常連客には)通常価格で、他ブランドからの乗り換え客には割引。携帯電話の契約がこの例)などがある。
   昔から日本でもダイナミックに価格を決めている業種がある。骨董屋は客の顔をみて値段を決めると言われている。坊主のお布施、弁護士の料金などもこの例であろうか。
   このダイナミック・プライシングに対し、消費者も賢く動かなければならないが、価格が変動しては困る商品・サービスもあるだろう。病院の受診料や官公庁のサービス、レストランの価格などは、価格変動に対して消費者の抵抗が多いものである。
   いずれにしろ、消費者が納得できる価格の設定ができなければ、ダイナミック・プライシングは崩壊する。