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仮想通貨リブラ

 フェイスブックが2020年に開始すると発表した仮想通貨「リブラ(Libra)」に各国が様々な反応を示しているが、多くは懸念や警戒感を表明したものである。
 7月17日に始まった日米欧の先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では、議長国のフランスが、米フェイスブックが計画する「リブラ」などのデジタル通貨について「最高水準の規制を満たし、信頼されるものでなければならない」とする議長総括を公表した。各国が「リブラは国家の通貨主権や、国際的な金融政策に影響を与える」との認識で一致したとも明記した。
 2009年に運用を開始した仮想通貨「ビットコイン」はそれほど各国の金融当局から関心は大きくなかったが、「リブラ」がこれほど大きな反応があるのは何故だろうか?

 その一番の違いは、フェイスブックの会員数が24億人と巨大な組織で影響力が大きいことと、ビットコインが通貨の裏付けが無いのに対し、リブラは複数の各国法定通貨と一定比率で交換できる「ステーブルコイン」の性格がある点であろう。
 そのため、ビットコインが価格の変動が激しいため投機の対象としての性格が強いのに対し、リブラは価格の安定が見込めるため、決済や送金の手段として低コストで使いやすい。
 また、リブラのブロックチェインは「ビザンチン・フォールト・トレランス(BFT)合意アプローチ」を使用するが、ビットコインなどより優れた技術であり、データの改ざんを事実上不可能にするための仕組みだ。さらに、ビットコインは1秒当たり7件の取引しか処理できないのに対して、リブラは、発行当初、1秒当たり1000件の決済を処理できるとされる。

 しかし、マネーロンダリングやビットコインで起こったような盗難、個人情報の漏えいなど、各国の法制度に反する行為をどのように回避するのかは、まだ不明である。
 また、「リブラは複数の国の規制に準拠する」としているが、複数の国の法制度をクリアするにはかなりの無理がある。

 リブラが「通貨」なのか「投資証券」や「投資信託」なのか、まだ明確に規定されていない。その定義によっては中央銀行を管轄する機関か、SECのような証券管理当局の監視対象となるかが決められる。

 いずれにしろ、リブラの詳細はこれから決まるが、野口悠紀雄氏の言うように、リブラは国家の支配が及ばない経済活動が可能になることを意味するわけで、国家体制に対する重大な挑戦になり得るし、これまでの仮想通貨とは比べ物にならないほどの影響を経済・社会に与える可能性がある。