株式会社アイシーアイ

盗まれた仮想通貨

このところのフィンテック関連の話題は、仮想通貨「NEM」流出事件である。

1月26日午前0時からの20分間に580億円相当の仮想通貨がハッカーに盗まれた。仮想通貨取引所「コインチェック」がこの盗難に気づいたのは11時間後である。安全管理に不備があったことが明らかになり、そのずさんな管理に金融庁が業務改善命令を出した。

1月31日現在、犯人は盗んだ仮想通貨NEMを複数の口座に移動させている。仮想通貨は電子データであるため追跡可能であるが、盗んだ仮想通貨NEMを他の仮想通貨に交換して換金すれば追跡困難となる。

さて、仮想通貨にかかわる事故・事件は大金が流出することが多く、世間を騒がせている。このような事件がおきると、仮想通貨対する信用不安を煽ることとなる。新技術ブロックチェイン技術をベースにした仮想通貨は、ビットコインをはじめとして1千種類を超えている。

仮想通貨の問題点として、次の6点があげられる。
① 価値の保証が無い。
② 取引記録の改ざんの恐れ。
③ 闇市場を生じる。
④ 課税の逃げ道。
⑤ マネーロンダリングに利用される。
⑥ 投資詐欺の可能性。

ところが、①、③、④、⑤、⑥は現金でも同様のリスクを抱えているので、仮想通貨だけの問題とは言えない。② の問題も技術的に解決可能な問題である。

また、今回のコインチェックの盗難問題は、仮想通貨取引所のずさんな管理の問題であって、仮想通貨そのものの問題ではない。ただし、現金であればこのような大金を盗み出すのは困難であるが、仮想通貨のようなデジタル情報だからこそ可能であった。しかしながら、仮想通貨のトレイサビリティ(追跡可能性)から換金にはある程度の困難が伴う。
 
いずれにしろ、仮想通貨のような新しい技術革新には、初期の段階においてはある程度のリスクが伴うものである。例えば、2014年のマウントゴックスによるビットコインの盗難事件、最近のスーパーコンピュータ開発会社「PEZY Computing」の助成金詐欺事件、かつてのIPS細胞に関係する「STAP細胞」詐欺事件など、新技術の開発に伴う詐欺などのリスクは様々な分野で常に存在する。

しかし、新技術は様々な問題を解決して普及していくものであり、いい加減な技術でない限り新技術そのものを否定することはない。

いまだに仮想通貨そのものは詐欺であるとの見方もあるが、今後はさらに進んだブロックチェーン技術をもとに発展するのではなかろうか。