株式会社アイシーアイ

AIの行き着く先

もう旧聞であるが、昨年3月9日はAI (Artificial Intelligence)にとって歴史的な日になった。

「コンピュータ囲碁ソフトがプロ棋士に勝つには、少なくともあと10年は必要」と言われていたが、Googleの子会社Google DeepMindの開発した『Alpha Go』が世界ランキング3位の囲碁棋士李世乭(イ・セドル)に4勝1敗で勝利した。また、2017年3月には日本の最強棋士井山裕太が日本製の囲碁ソフト『ディープゼンゴ』に敗れ、5月下旬には世界最強棋士柯潔(カケツ)に3連勝したAlpha Goは人間が相手にならないことから、人間との対局を「引退」した。

 ゲームの世界では1997年にチェスの世界チャンピオンのカスパロフを、IBMのコンピュータ、ディープ・ブルーが打ち負かした。また、将棋ではソフト・ポナンザが2013年にプロ4段を打ち負かした。ただし、ディープ・ブルーもポナンザもAIではなく、エキスパート・システムと呼ばれる論理的システムであり、同じ間違いを繰り返す可能性の高いソフトである。

 米国のAI研究の第一人者であるレイ・カーツワイルはGoogleに入りAI開発の総指揮をとり、「2029年には人間と同じ『論理的知能』だけでなく『感情的知能』もコンピュータは理解するようになる」と言っている。また、2045年には人工知能が知識・知能の点で人間を超越し、科学技術の進歩を担う技術的特異点(シンギュラリティ)が訪れるとしている。オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授の研究では、2030年までに47%の仕事が、AIや機械に取って代わられる、とのことである。

 今後、最も期待されているのは医者の仕事である。病気の症例と治療法や薬を記憶し、病気を特定し、治療法を見出すことは、AIの得意の分野である。東京大学医学研究所ヒトゲノム解析センターでは2015年7月に米IBMが開発したAI「Watson(ワトソン)」を導入し、血液腫瘍領域を中心とした2000万件以上の研究論文や1500万件を超える薬剤の特許情報を学習させ、患者の症状やゲノム情報から原因疾患と治療法を推論させるシステムを開発している。今まで2種類の抗癌剤を用いて化学療法を半年続けていたが効果が得られず病状が悪化していた「急性骨髄性白血病」の患者の診療データから、ワトソンが臨床医とは異なる診断結果を提示。それを受けて医師が治療方針を変更したところ、治療効果が劇的に得られ、今では外来での治療に切り替えるほどに回復しているという。

 ところで、近い将来AI (Artificial Intelligence)が人間の知能を超えるとなると、AIに人間が支配されるのか、人間の知能を増幅させる道具(IA;Intelligence Amplifier)になるのか,という議論が始まっている。AIが人間の主人になるのか、奴隷になるのか、パートナーになるのか、という議論である。

 囲碁の世界では、AlphaGo先生と呼んで、プロが教えを乞うている世界がもう始まっているが・・・。